あなたの投資、手数料でいくら差がつく?
計算と根拠
手数料辞書バージョン 2026-08 版(公表資料との突き合わせ: 2026-08-04)。水準や区分を更新するときに差し替えるのは lib/fees.ts の1ファイルだけです。
この診断が、あえて出さないもの
- 証券会社名と、その手数料。手数料は各社が自由に決めていて、値下げも値上げも頻繁にあります。社名と料率を辞書に焼き込むと、 次に動いた瞬間から嘘になります。だから持ちません。使うのは、あなたが自分の口座で確認した数字だけです。
- 商品名と、その信託報酬。同じ理由です。「いま最安はこれ」を書いた瞬間から古くなります。代わりに、比較の基準となる水準 (既定 0.1%)だけを置き、画面から変えられるようにしています。
- 将来の相場・値上がり率。利回りは当てにいく数字ではなく「この幅で運用できたとしたら」の前提値です(既定2%〜5%)。ドル円レートも同様で、 「◯銭」を買付額に対する割合に直すためだけに使います。
- 「平均的な投資家」の統計。平均コスト・平均取りこぼし額といった数字を1つも持っていません。
- 実質コスト(隠れコスト)の金額。信託報酬への上乗せ幅は商品ごとにまったく違い、決算後の運用報告書を見ないと分かりません。 それらしい倍率を置くことはせず、調べ方だけをお渡しします。
- 売買手数料の年間合計。「1回あたりの手数料 × 年間の取引回数」で決まりますが、取引回数を聞いていないので出せません。
- 偏差値。偏差値を名乗るには受験者全体の分布が必要です。持っていないので、 出しているのは知識設問の正答率そのもの(0〜100)です。
使っている前提値
すべて画面から変えられるか、あなたが入力した値です。
比較の基準に置く低コスト水準 0.1%(既定)
各社で異なる(要確認)「もっと安い商品に替えたとしたら」の比較先です。2026年8月時点で、代表的な指数に連動するインデックス投信にはこれを下回るものが複数あるため、やや保守的な側に置いています。引き下げ競争でこの水準はさらに下がりうるので、画面から変更できるようにしてあります。
出典: 各運用会社が公表する信託報酬(商品名は挙げません。頻繁に動くため)
想定利回り 2%〜5%(既定・控えめ側)
仕組みからの整理コストの差が資産にどれだけの差を生むかを見るための前提値です。相場の予測ではありません。利回りが高いほどコスト差は大きく出て、低ければ小さく出ます。既定は控えめ側にしてあります。
出典: 前提値(画面から変更可)
為替手数料の選択肢 0銭 / 3銭 / 6銭 / 25銭(片道・1米ドルあたり)
各社で異なる(要確認)各社が公表している水準の幅をカバーする選択肢です。特定の社名とは結びつけていません。分からない場合は「わからない」を選んでください。その場合、この項目の金額は出しません。
出典: 各社が公表する為替手数料・スプレッド(会社・時期により変動)
ドル円レートの前提 1ドル 150円(既定)
仕組みからの整理「片道◯銭」を買付額に対する割合に直すために必要な値です(割合 = 銭 ÷ 100 ÷ レート)。相場の予測ではありません。レートが動けば、同じ銭数でも割合は変わります。
出典: 前提値(画面から変更可)
信託報酬の区分(率が分からない方向け)
仕組みからの整理年0.2%未満 → 0.05%〜0.2% / 年0.2〜0.5%くらい → 0.2%〜0.5% / 年0.5〜1%くらい → 0.5%〜1% / 年1%以上 → 1%〜2%
出典: 区分そのものを幅として扱っています(推定値ではなく、選んでいただいた範囲です)
早見表に並べる率 0.1% / 0.3% / 0.5% / 1% / 1.5% / 2%
仕組みからの整理率を知らない方にとっては、ここが結果画面の本体です。あなたが入力した投資額・積立額・年数で、信託報酬だけを変えた場合の差を並べます。控えめ側の利回りで計算しています。
出典: 計算(下の式のとおり)
金額の計算式
結果画面の「この金額の出どころ」に出るものと同じ式です。
共通 — 資産の積み上がりと手数料の控除
月利 = (1 + 年利)^(1/12) − 1
毎月: 残高 = 残高 ×(1 + 月利)+ 積立額
手数料 = 残高 × 年率 ÷ 12 → 残高から引き、支払総額に足す
これを 年数 × 12 か月ぶん繰り返す
信託報酬は実際には日割りで毎日引かれますが、ここでは月ごとにまとめて概算しています。年利を12で割るのではなく、複利で月利に直してから使っています。返すのは「n年後の残高」と「その間に支払った手数料の総額」の2つで、この2つは意味が違います。
① 信託報酬
下限 = (基準の率での n年後の残高) − (あなたの率(下側)での n年後の残高) ※利回りは下限
上限 = (基準の率での n年後の残高) − (あなたの率(上側)での n年後の残高) ※利回りは上限
マイナス(基準より安い場合)は 0 に丸める
★この金額は「支払う手数料の総額」ではありません。引かれた分がそのあと運用されずに終わる影響(機会損失)まで含んだ、n年後の残高の差です。だから支払総額より大きくなります。結果画面には支払総額そのものも併記しています。率を入力していない場合は、クイズで選んだ区分の下端・上端をそのまま下限・上限に使います。区分も選ばれていない(「知らない」)場合は、金額を出さずに早見表へ渡します。
② 隠れコスト(実質コスト)
金額は出しません。
信託報酬のほかにかかる費用(ファンドの売買委託手数料、有価証券取引税、海外資産の保管費用、監査費用など)は事前に決まらず、決算後の交付運用報告書「1万口当たりの費用明細」で事後に分かります。上乗せの大きさは商品ごとに違い、統計を持っていないので概算も置きません。確認できた実質コストの率を①の入力欄に入れていただくと、①の金額が実質コストベースの数字になります。
③ 為替手数料
料率 = 片道の銭 ÷ 100 ÷ ドル円レート
年額(片道) = 年間の外貨買付額 × 料率
下限 = 年額(片道) × 年数
上限 = 年額(片道) × 2 × 年数
買うときと、売って円に戻すときの2回かかるため、片道だけを下限、往復を上限にしています。外貨のまま持ち続けて円に戻さない場合は、実際にかかるのは下限側だけです。片道の銭数が「わからない」の場合は金額を出しません。
④ 売買手数料
金額は出しません。
年間の合計は「1回あたりの手数料 × 年間の取引回数」で決まりますが、この診断は取引回数を聞いていません。回数を勝手に置くと、出てくる金額はこちらが決めた数字になります。代わりに、手数料コースの確認という具体的な手順をお渡しします。
⑤ 高コストになりやすい商品
金額は出しません(①と二重に数えないため)。
ラップ口座の合計負担率は契約締結前交付書面がないと出ず、毎月分配型の元本払戻金は分配金の明細がないと分かりません。また、合計の負担率が分かった場合はそれを①の入力欄に入れていただく設計なので、この項目で別に金額を立てると同じコストを二重に数えることになります。
「払う総額」と「資産の差」は別のもの
結果画面の早見表で、いちばん誤解されやすいところです。
同じ信託報酬でも、「その間に払う手数料の合計」と「払わなかった場合との資産の差」では、後者のほうが必ず大きくなります。手数料として引かれたお金は、そのあと運用に参加しないからです。
結果画面の早見表では、真ん中の列が前者、いちばん右の列が後者です。 SNSで見かける「手数料で◯百万円損する」という数字は、たいてい後者を指しています。 どちらが正しいという話ではなく、意味が違うので、本ツールでは両方を並べて出しています。
設問と正解の一覧
知識設問 10問 + 行動設問 5問 = 全15問。正解と出典を先に公開しています。
1. 投資信託の信託報酬(運用管理費用)は、いつ・どうやって支払っている?
公表されている仕組み正解: 保有している間、毎日 信託財産から差し引かれている
保有している間ずっと、日割りで信託財産(純資産総額)から差し引かれています。口座から引き落とされるわけでも、取引報告書に「手数料」として出てくるわけでもありません。請求書が来ないので払っている実感がなく、それでも毎日引かれ続けます。手数料のなかで、これがいちばん気づかれにくい。
出典: 投資信託協会「投資信託の費用」/ 各ファンドの交付目論見書「ファンドの費用・税金」
2. 基準価額は、信託報酬を差し引く前の数字である。
公表されている仕組み正解: 誤り
誤りです。基準価額は信託報酬を差し引いたあとの数字です。つまり「基準価額が上がっているから手数料は取られていない」ということにはなりません。支払いは、値上がりの一部が削られる形ですでに終わっています。だから明細を探しても見つかりません。
出典: 投資信託協会「基準価額とは」
3. 投資信託を持っているあいだにかかる費用は、目論見書に書いてある信託報酬がすべてである。
公表されている仕組み正解: 誤り
誤りです。信託報酬のほかに、ファンドが中で株を売買するときの売買委託手数料、有価証券取引税、海外資産の保管費用、監査費用などがかかります。これらは事前に金額が決まらないため目論見書に率で書けず、事後にしか分かりません。信託報酬とこれらを合わせたものが「実質コスト」です。
出典: 投資信託協会「投資信託の費用」/ 交付目論見書「ファンドの費用・税金」
4. 実質コスト(信託報酬を含めた実際の負担)は、決算後に出る「交付運用報告書」で確認できる。
公表されている仕組み正解: 正しい
正しい。交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」に、信託報酬・売買委託手数料・有価証券取引税・保管費用・監査費用などが、期中に実際いくらかかったかとして載ります。信託報酬しか見ていないと、負担を実際より小さく見積もることになります。
出典: 投資信託及び投資法人に関する法律14条 / 投資信託協会「運用報告書」
5. 外国株・外国ETFを買うために円を外貨に替えるときの為替手数料は、証券会社や経路によって変わる。
各社で異なる(要確認)正解: 正しい
正しい。同じ1ドルを買うのでも、片道いくら乗せられるかは会社と経路で違います。しかも買うときと、売って円に戻すときの2回かかるので、往復では単純に2倍です。ここは各社が自由に決めていて頻繁に動くので、本ツールは会社名も料率も持たず、あなたが実際に使っている水準を入力してもらいます。
出典: 各社が公表する為替手数料・スプレッド(会社・時期により変動)
6. 円のまま買える「円貨決済」を選べば、為替手数料はかからない。
公表されている仕組み正解: 誤り
誤りです。円貨決済でも、証券会社の中で円と外貨の両替は必ず行われていて、為替手数料はその中に含まれています。かからないのではなく、明細に分けて出てこないだけです。外貨決済にして自分で両替すると、そのぶんが目に見える形になり、安い経路を選べるようになります。
出典: 各社の外国株式取引「円貨決済・外貨決済」の説明
7. 国内株の売買手数料が「無料」の証券会社なら、何もしなくても必ず無料になる。
各社で異なる(要確認)正解: 誤り
誤りです。無料になるのは所定の条件(取引報告書などの電子交付の設定、対象コースの選択など)を満たしたときで、条件は会社ごとに違います。設定していないまま有料のコースで取引を続けている、というのはよくあります。自分の口座で今どのコースになっているかは、一度見ておく価値があります。
出典: 各社の国内株式手数料コースの説明(会社・時期により条件が異なる)
8. 手数料の金額が同じなら、1回あたりの取引額が小さいほど、取引額に対する手数料の割合は高くなる。
仕組みからの整理正解: 正しい
正しい。500円の手数料は、10万円の取引なら0.5%ですが、100万円の取引なら0.05%です。少額でこまめに売り買いするほど、同じ手数料が効いてきます。取引の回数を減らすことが、そのままコストを下げることになります。
出典: 手数料 ÷ 取引額 の計算そのもの
9. ラップ口座(ファンドラップ)で払う費用は、投資一任報酬だけである。
公表されている仕組み正解: 誤り
誤りです。投資一任報酬に加えて、組み入れられている投資信託の信託報酬が別にかかります。二階建てなので、合計の負担率は契約締結前交付書面の「手数料等」で確認する必要があります。「1%くらい」と聞いていた人が、合計では倍近くになっていた、という取り違えが起きやすいところです。
出典: 日本証券業協会 / 各社のファンドラップ契約締結前交付書面
10. 毎月分配型の投資信託で受け取る分配金は、すべて運用で得た利益から出ている。
公表されている仕組み正解: 誤り
誤りです。分配金には、運用益から出る「普通分配金」と、自分が出した元本が戻ってくる「元本払戻金(特別分配金)」があります。後者は自分のお金が戻っているだけなので課税されません。非課税なのは得だからではなく、利益ではないからです。受け取るたびに基準価額は下がり、その分は運用から外れます。
出典: 投資信託協会「分配金のしくみ」